🔢 最大公約数・最小公倍数の求め方|素因数分解とユークリッドの互除法

最大公約数・最小公倍数の求め方|素因数分解とユークリッドの互除法

分数の約分や通分でつまずくとき、その正体はたいてい「最大公約数」と「最小公倍数」です。結論を先に言うと、約分は最大公約数(GCD)で割る、通分は最小公倍数(LCM)にそろえる。この2つの意味と求め方をおさえるだけで、分数の計算はぐっと楽になります。

この記事では、定義 → 3つの求め方(素因数分解・互除法・連除法) → 便利な関係式 → 約分通分や日常への応用 → つまずきポイントの順に、すべて具体的な数値例で解説します。計算そのものを一発で済ませたいときは最大公約数・最小公倍数ツールに2つの数を入れるだけで答え合わせできます。

最大公約数と最小公倍数とは

まず言葉の意味です。

  • 最大公約数(GCD):2つ以上の数に共通する約数(割り切れる数)のうち、最大のもの。約分に使う。
  • 最小公倍数(LCM):2つ以上の数に共通する倍数のうち、最小のもの。通分に使う。

たとえば12と18で考えます。

  • 12を割り切れる数(約数):1・2・3・4・6・12
  • 18を割り切れる数(約数):1・2・3・6・9・18
  • 両方に共通する約数:1・2・3・6 → その最大は6(=最大公約数)
  • 12の倍数:12・24・36・48…/18の倍数:18・36・54…
  • 共通する倍数:36・72… → その最小は36(=最小公倍数)

つまり12と18は、最大公約数が6、最小公倍数が36です。

💡 覚え方

「公約数」は割る側だから小さくなり、その最大がGCD。「公倍数」は掛けた側だから大きくなり、その最小がLCM。約分(分数を小さくする)=GCD、通分(分母をそろえて大きくする)=LCM、とセットで覚えると混乱しません。

求め方その1:素因数分解

それぞれの数を素数だけの掛け算(素因数分解)に分け、共通部分から求める方法です。仕組みが一番わかりやすく、GCDとLCMを同時に出せます。

12と18を分解します。

  • 12 = 2 × 2 × 3 = 2² × 3
  • 18 = 2 × 3 × 3 = 2 × 3²

ルールは次のとおりです。

求めるものルール12と18の場合答え
最大公約数(GCD)共通する素因数を、少ない方の指数まで掛ける2¹ × 3¹6
最小公倍数(LCM)現れる素因数を、多い方の指数まで掛ける2² × 3²36
  • GCD:2は「12に2個・18に1個」で少ない方は1個、3は「12に1個・18に2個」で少ない方は1個。よって 2 × 3 = 6
  • LCM:2は多い方の2個、3は多い方の2個。よって 2² × 3² = 4 × 9 = 36
💡 素因数分解の書き方

どちらか一方にしか出てこない素因数(たとえば片方だけにある5や7)は、共通していないのでGCDには入れません。LCMには「現れる素因数はすべて、多い方の個数だけ」入れます。この違いがGCDとLCMを分ける核心です。

素因数分解は数が小さいときに最速です。ただし数が大きくなると分解自体が大変になります。そこで次の互除法が効きます。

求め方その2:ユークリッドの互除法

大きい数を小さい数で割り、その余りでまた割る——これを余りが0になるまで繰り返す方法です。余りが0になったときの「割る数」が最大公約数になります。素因数分解が難しい大きな数でも、割り算だけで確実に求まります。

まず12と18で確認します。

  • 18 ÷ 12 = 1 余り 6
  • 12 ÷ 6 = 2 余り 0 → 割り切れた

割り切れたときに割った数「6」が最大公約数です。

次に、素因数分解では手が止まりそうな 1071と1029 でやってみます。

  • 1071 ÷ 1029 = 1 余り 42
  • 1029 ÷ 42 = 24 余り 21
  • 42 ÷ 21 = 2 余り 0 → 割り切れた

最後に割った数「21」が最大公約数です。手順は「割る数と余りを次の割り算に送る」だけ。数が3桁・4桁でも同じ動きで求まるのが互除法の強みです。

⚠️ 「最後の割る数」と「最後の余り」を混同しない

最大公約数は、余りが0になった行の割る数です。「最後にゼロでなかった余り」がそのまま答えになる、と覚えても同じ数を指します(上の例なら21)。ただし「余りが0の行の割られる数」や「最初の余り」ではありません。ここが互除法で一番多い取り違えです。

求め方その3:連除法(すだれ算)

2つ(以上)の数を縦に並べ、共通で割れる素数で同時に割り続ける方法です。「すだれ算」とも呼ばれ、GCDとLCMを1つの図で同時に出せます。

12と18を並べて割ります。

  • 2 ) 12 18 ← 両方2で割れる
  • 3 ) 6 9 ← 両方3で割れる
  • ----------
  • 2 3 ← もう共通で割れない(1以外)

読み取り方は次のとおりです。

求めるもの読み取る場所計算答え
最大公約数(GCD)左に並んだ割った数の積2 × 36
最小公倍数(LCM)左の数 × 下に残った数(L字の積)2 × 3 × 2 × 336
  • GCD=左の割った数だけを掛ける:2 × 3 = 6
  • LCM=L字(左の列 + 一番下の行)をすべて掛ける:2 × 3 × 2 × 3 = 36
💡 どの方法を使う?

小さい2数なら素因数分解連除法が直感的。数が大きくて分解しにくいなら互除法が最速で確実。テストで「GCDもLCMも両方すぐ欲しい」なら連除法が1図で済んで便利です。迷ったら最大公約数・最小公倍数ツールで答え合わせしながら手順を確認するのがおすすめです。

便利な関係式:GCD × LCM = 2数の積

2つの数については、次のとても便利な関係が成り立ちます。

  • 最大公約数 × 最小公倍数 = 2つの数の積

12と18なら、GCD(6) × LCM(36) = 216、そして 12 × 18 = 216。ぴったり一致します。

この式を変形すると、先にGCDを求めれば、LCMは掛け算・割り算だけで出せます

  • 最小公倍数 = (2つの数の積) ÷ 最大公約数
  • 12と18:(12 × 18) ÷ 6 = 216 ÷ 6 = 36

互除法でGCDだけ手早く出し、この式でLCMを求める、という合わせ技が実戦では最速です。

⚠️ この関係は「2つの数」だけ

GCD × LCM = 積 が成り立つのは2数のとき限定です。3つ以上では成り立ちません。たとえば4・6・9はGCD=1・LCM=36ですが、GCD × LCM = 36 に対して 4 × 6 × 9 = 216 と一致しません。3つ以上のLCMは、素因数分解か連除法で「現れる素因数を最大個数ずつ掛ける」方法で求めてください。

約分・通分への使い方

分数計算での使いどころが、GCDとLCMを学ぶ一番の理由です。

  • 約分:分子と分母を最大公約数で割る。12/18 なら、GCDの6で割って 2/3
  • 通分:分母を最小公倍数にそろえる。1/12 と 1/18 なら、分母のLCMは36なので、それぞれ 3/362/36 にそろえる。

通分してしまえば、分数のたし算・ひき算は分子だけの計算になります。1/12 + 1/18 = 3/36 + 2/36 = 5/36。分母をLCMでそろえるのは、無駄に大きな数(たとえば12 × 18 = 216)を使わずに済ませるための工夫です。

割合(パーセント)への変換も、約分してから計算すると数が小さくなって楽になります。分数と割合を行き来したいときはパーセント計算ツールも使えます。

日常への応用

GCDとLCMは受験だけのものではありません。身近な「周期そろえ」「割り切れる大きさ」の問題に直結します。

  • タイルの敷き詰め:たて12cm・よこ18cmの床を、余りなく同じ正方形タイルで埋めたい。一辺の最大の正方形=GCDの6cm。逆に「12cmと18cmのタイルを並べて初めて端がそろう長さ=LCMの36cm」。
  • 周期がそろうタイミング:4分ごとに来るバスと6分ごとに来るバスが同時に発車するのは、LCMの12分ごと。「何分後にまた重なる?」はLCMで解けます。
  • ものを等分する:あめ12個とガム18個を、余りなく同じ数ずつ配れる最大の人数=GCDの6人(1人あたりあめ2個・ガム3個)。
💡 見分け方

「共通する最大の"大きさ・人数"を求める」問題はGCD、「次にそろう・重なる"最小のタイミング・長さ"を求める」問題はLCM。文章題では「余りなく分ける最大」=GCD、「初めてそろう最小」=LCM、と対応づけると迷いません。

つまずきポイント早見表

つまずき正しい理解
GCDとLCMを取り違える共通素因数を少ない指数=GCD、現れる素因数を多い指数=LCM
互除法で答えの位置を間違える余りが0になった行の割る数がGCD(=最後にゼロでなかった余り)
GCD×LCM=積を3数で使うこの式は2数だけ。3数以上は素因数分解か連除法で
共通約数が1しかないGCD=1(=互いに素)。このときLCMは2数の積そのもの
連除法で1まで割ろうとする共通で割れる素数がなくなった時点で終了。下に残った数はそのまま使う

「共通約数が1だけ」の例:8と15はどちらも割り切る素数を共有しないのでGCD=1(互いに素)、LCM=8 × 15 =120。互いに素な2数は、通分でそのまま分母どうしを掛ければよい、という近道になります。

小さい数の早見表

よく出る組み合わせのGCD・LCMです。手順の確認や答え合わせにどうぞ。

2数最大公約数(GCD)最小公倍数(LCM)
4 と 6212
6 と 8224
8 と 12424
9 と 12336
12 と 18636
15 と 20560
8 と 151120

ツールで一発計算

2つの整数を入れるだけで、最大公約数・最小公倍数・最簡の整数比(約分した比)をまとめて出すなら最大公約数・最小公倍数ツールが便利です。手計算の答え合わせにも、約分・通分の確認にも使えます。数の性質や集計の考え方をもう少し広げたいときは、データのばらつきを扱う標準偏差とは?意味と求め方もあわせてどうぞ。

よくある質問

Q. 最大公約数の一番かんたんな求め方は? A. 数が小さいなら素因数分解か連除法(すだれ算)が直感的です。数が大きくて分解しにくいときはユークリッドの互除法(大きい数を小さい数で割り、余りで割り続ける)が最速で確実です。余りが0になったときの割る数が最大公約数になります。

Q. 最小公倍数はどう求める? A. 2つの数なら「2つの数の積 ÷ 最大公約数」で一発です。12と18なら (12×18)÷6=36。先に最大公約数を出すのが近道です。3つ以上の数は素因数分解か連除法で、現れる素因数を最大個数ずつ掛けて求めます。

Q. 約分と通分、どちらにどちらを使う? A. 約分は分子分母を「最大公約数」で割り、通分は分母を「最小公倍数」にそろえます。12/18は6で割って2/3(約分)、1/12と1/18は分母を36にそろえて3/36と2/36(通分)です。最大公約数・最小公倍数ツールで両方すぐ確認できます。

Q. GCD×LCM=2つの数の積は、いつでも成り立つ? A. 成り立つのは「2つの数」のときだけです。12×18=216、GCD(6)×LCM(36)=216で一致します。3つ以上では成り立たないので、その場合は素因数分解か連除法でLCMを求めてください。

Q. 「互いに素」とは何ですか? A. 2つの数の最大公約数が1、つまり1以外に共通の約数がない関係です。たとえば8と15は互いに素で、GCD=1、LCM=8×15=120。互いに素な分数は、通分のときに分母どうしをそのまま掛ければそろえられます。

Q. 3つ以上の数の最大公約数・最小公倍数はどう求める? A. 考え方は同じです。素因数分解して「共通する素因数を最小指数まで(GCD)」「現れる素因数を最大指数まで(LCM)」掛けます。連除法なら3つ縦に並べて共通で割れる素数で割り進めます。ただしGCD×LCM=積の関係は使えない点に注意してください。

💡 この記事の要点

約分=最大公約数で割る/通分=最小公倍数にそろえる。求め方は「小さい数=素因数分解・連除法/大きい数=互除法」。2数なら LCM=積÷GCD で近道。計算の確認は最大公約数・最小公倍数ツールへ。

※本記事は2つの整数を中心にした一般的な解説です。3つ以上の数や、より進んだ整数の性質については、教科書や公式の学習教材など最新の情報もあわせてご確認ください。

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