🚦 信号機の「青」はなぜ緑色?歴史からわかる青信号の呼び方の理由

信号機の「青」はなぜ緑色?歴史からわかる青信号の呼び方の理由

日本の信号機の「青」が緑に見えるのは、灯火の色が特別なのではなく、日本語の「青」という言葉がもともと緑まで含む広い範囲を指してきたからだとされる。灯りの色は世界共通で緑(green)に近く、それを「青」と呼ぶ日本語の習慣だけが独特なのだ。

つまり「見え方」ではなく「呼び方」の問題である。この記事では、なぜ緑を「青」と呼ぶのか、いつどんな経緯で「青信号」が定着したのか、法令の呼称はどう変わったのか、そして海外との違いまでを、事実の範囲で順に整理する。

結論:色ではなく「言葉」がずれている

まず押さえたいのは、次の3点だ。

  • 日本の信号の緑灯は、世界の信号と同じ緑系の色で光っている(灯火そのものは特殊ではない)とされる
  • 日本語の「青」は歴史的に緑を含む広い色域を指す言葉で、緑のものを「青」と呼ぶ習慣が根強い
  • そのため導入時に緑の灯りが自然と「青信号」と呼ばれ、後から法令の呼称もそれに合わせられたとされる
💡 ひとことで言うと

信号の緑が「青」に見えるのではなく、日本語では緑も「青」と呼ぶことがある、というだけ。色覚の話ではなく、言葉の切り取り方の話である。

日本語の「青」はなぜ緑まで含むのか

日本語では、実際には緑色のものを「青」と呼ぶ言い回しが数多く残っている。これは単なる言い間違いではなく、古い時代の色彩語彙の名残だとされる。

「青」と呼ぶが実際は緑のもの補足
青葉・青々とした木々新緑の緑を「青」と表現する
青菜・青野菜・青虫緑の葉物や虫を「青」と呼ぶ
青リンゴ熟す前の緑色の品種
青汁緑の葉を絞った飲み物
青信号本記事のテーマ。緑の灯火を「青」と呼ぶ

古代の日本語では、色を表す基本語が「赤・青・白・黒」を中心に少なく、「青」が緑〜青という広い範囲をまとめて受け持っていたと考えられている。緑という色名が独立した語として日常に定着していく過程でも、慣用表現の中には昔ながらの「青」の使い方が残った。信号の「青」も、その延長線上にある呼び方だといえる。

💡 判断のポイント

「青リンゴを緑と言い直せ」と感じないのと同じで、「青信号」も日本語話者には違和感が薄い。色を間違えているのではなく、緑を含む「青」という語感が生きている、と考えると腑に落ちやすい。

いつ「青信号」と呼ばれるようになったのか

日本で三色式の自動信号が本格的に登場したのは1930年(昭和5年)ごろで、東京の日比谷交差点に設置されたものが初期の例としてよく挙げられる。ただし設置場所や年代の細部には資料によって幅があり、諸説ある。

このとき、法令や当時の規定上の呼称は「緑色」の信号だったとされる。ところが、新聞などのメディアが緑の灯火を「青信号」と書き、この呼び方が一般に急速に広まっていった。前述のとおり、当時の日本語にはすでに緑を「青」と呼ぶ感覚が根づいていたため、「緑信号」よりも「青信号」の方が耳になじみやすかったと考えられている。

その後、法令上の表現の方が世間の呼び方に合わせられ、「青(青色)」の信号として規定されるようになったとされる。この法令上の呼称統一は1947年(昭和22年)の改正によるものとする説明が広く見られるが、年代や条文の扱いには出典差があり、ここでは目安として扱う。

段階時期の目安呼び方・扱い
導入当初1930年ごろ(諸説あり)規定上は「緑色」の信号とされる
普及期昭和初期以降新聞などで「青信号」の呼称が定着したとされる
呼称の統一1947年ごろとされる法令上も「青」の表現に合わせられたとされる
⚠️ 年代は「目安」として

初設置の年・場所、法令改正の年次には資料ごとにばらつきがある。「1930年ごろ導入」「1947年ごろに呼称統一」はよく引かれる目安であって、確定した一点の史実として断定はできない。

つまり、色の見え方が途中で変わったのではなく、呼び方が先に社会へ浸透し、制度が後からそれに追随した、という順番だと整理できる。

実際の灯火は「やや青みがかった緑」

では日本の信号の灯りは、名前どおりの青なのかというと、そうではない。国際的な取り決めでは信号の進行灯は緑系と定められており、日本の信号もその枠内にある。海外の信号と並べて見ても、灯火の色に大きな違いはないとされる。

一方で、日本では法令が許す範囲の中で、やや青みを帯びた緑を採用しているといわれる。呼び名が「青」であることとも整合し、また色覚の個人差にも配慮した色味だと説明されることがある。いずれにせよ「純粋な青色の光」ではなく、あくまで緑の範囲の中での色調の話である。

  • 世界標準では進行灯は緑系で、日本もその範囲内
  • 日本の灯火は法定範囲内でやや青みがかった緑とされる
  • それでも分類上は「緑」であって、青一色の光ではない

近年はLED式が普及し、電球式に比べて発色を正確に制御しやすくなったため、緑がよりはっきり感じられる場面もあるとされる。ただし呼び名は変わらず「青信号」のままだ。呼称と実際の色のずれは、LED化後も続いている。

海外ではどう呼ぶか(国際比較)

英語では信号の進行灯はそのまま green light(グリーンライト)と呼ぶ。「go signal」的な意味合いでも green が使われ、「青」に当たる blue が信号の色名として使われることは基本的にない。

色をどこで区切って名前を付けるかは言語や文化によって異なる。ある言語では一語でまとめて呼ぶ色域が、別の言語では複数の語に分かれていることは珍しくない。日本語の「青」が緑まで含んでいたのは、その一例にすぎない。

言語・地域進行灯の呼び方色名と実際の色
日本語青信号緑の灯りを「青」と呼ぶ
英語green light緑を「緑」と呼び一致

信号の「青」は、こうした言語ごとの「色の区切り方」の違いを示す身近な題材として、しばしば取り上げられる。虹の色数が国によって違うのも同じ理屈で、色の見え方そのものより、それをどの言葉で切り取るかという文化側の問題だ。近い話題として虹が7色といわれる理由もあわせて読むと、色と言葉の関係がより立体的に見えてくる。

まとめ:誤用ではなく「言葉の名残」

信号の「青」は、単なる勘違いや誤用ではない。緑まで含んでいた日本語の「青」という語の使い方が、現在の呼び名にそのまま残っているだけだ。灯りの色は世界と同じ緑系で、それを「青」と呼ぶ言葉の側に理由がある。

色の話は、光の物理と、言葉の文化が交わるところにある。空が青く見える理由のような光の仕組みは空はなぜ青いのかで、色の呼び分けの文化差は本記事や虹の記事で、と入口を分けて眺めると分かりやすい。

よくある質問

Q. 信号の「青」は法律上おかしくないの? A. 現在は法令上も「青(青色)」の信号として扱われているとされるため、呼び方自体に問題はない。色の見え方と呼称の由来が違うという言語文化的な背景があるだけで、制度上の整合はとられているといえる。

Q. 実際の灯りは青なの、緑なの? A. 分類上は緑系で、世界の信号と同じ範囲にある。ただし日本では法定範囲内でやや青みがかった緑を採用しているとされる。純粋な青の光ではなく、あくまで緑の中での色調の違いだ。

Q. なぜ最初から「緑信号」と呼ばなかったの? A. 導入当初は規定上「緑色」とされていたとされるが、新聞などを通じて「青信号」という呼び方が先に社会へ定着し、後から法令の表現がその呼び方に合わせられたとされる。緑を「青」と呼ぶ日本語の感覚が、すでに広く根づいていたことも背景にある。

Q. いつから「青信号」で統一されたの? A. 1947年(昭和22年)ごろの法令改正で呼称が「青」に合わせられたとする説明が広く見られる。ただし年代や条文の扱いには出典差があり、確定した一点として断定はできない。目安として理解しておきたい。

Q. LEDになって信号の色は変わったの? A. LED式は電球式より発色を正確に制御しやすく、緑がはっきり感じられる場面もあるとされる。一方で呼び名は変わっておらず「青信号」のままで、呼称と色のずれはLED化後も続いている。

Q. 「青葉」「青リンゴ」も同じ理由? A. その通りで、いずれも緑のものを「青」と呼ぶ日本語の古い語感の名残だとされる。信号の「青」だけが例外なのではなく、日本語に広く残る「青」の使い方の一つと考えると分かりやすい。

Q. 英語でも青と呼ぶことはあるの? A. 基本的にはない。英語では進行灯を green light と呼び、色名と実際の色が一致している。「青」で呼ぶのは日本語の色彩表現の歴史に由来する特徴だと考えられている。

⚠️ ご利用にあたって

本記事は一般的な情報の解説です。信号導入の年代や法令改正の時期、灯火の色味などには諸説・出典差があり、年代や表現には幅があります。正確な情報は、警察庁や各都道府県警などの公的資料、最新の専門家の解説をご確認ください。

次に読む